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コンピュータサイエンスで学ぶ論理回路とその設計
本書は、大学学部、高等専門学校、専修学枚のコンピュータサイエンス系学科における「論理回路」と「論理設計」の教科書として書き下ろした。
その内容は、(社)情報処理学会が策定した「大学の理工系学部情報系学科のためのコンピュータサイエンス教育カリキュラムJ97」のU-1論理回路;U-6論理設計;の2科目に準拠している。本書では、コンピュータサイエンスを支える論理代数とそのハードウェアによる実現である論理回路との関係について、電気に関する専門知識がなくても理解できるように、解き明かしている。また、古典的な知識や理論だけではなく、最新の理論や実用的な手法についても平易に解説している。各所で、コンピュータハードウェアの基本原理である「論理回路」を実例として紹介し、理論と実際との関連に興味をつなげるようにしている。
J97では、この分野の講義を、1.論理回路:数学的な概念(ソフトウェア)による組み合わせ回路や順序回路といった論理回路(ハードウェア)の実現; 2.論理設計:論理回路の効率の良い設計手法の理論と実際;の2科目に分けて学習することを提案している。 -
情報科学の基礎論への招待
コンピュータは何ができて何ができないのか、原理的に考えていくと、コンピュータとはいったい何か、という基本的な問題に帰ることになる。
これはコンピュータの科学である計算機科学あるいは情報科学の基礎論の一つの課題である。情報科学はさまざまな科学の諸分野を基礎としているが、ここでは、そのような分野の理解を通して、コンピュータとは何か、アルゴリズムとは何か、コンピュータの扱う知識とは何か、そして、コンピュータは何ができて何ができないか、このようなことを理論的に考えてみる。
コンピュータの動作の基本はアルゴリズムである。コンピュータはコンピュータのアルゴリズムとして表わせるものはすべて処理できる。コンピュータは何ができるかということは、言い換えると、原理的な意味でアルゴリズムとして表わせるものは何か、ということである。ところで、このようなアルゴリズムを処理するコンピュータの動作自身もやはりアルゴリズムになっており、コンピュータで実行することができる。そのことがコンピュータにある意味での無限の可能性を与えている。このようなアルゴリズムについて考えること、これが本書のテーマである。 -
計算機工学の基礎
計算機そのものの進歩とともに、その需要は拡大しつつある。それに対応して計算機技術者の層も厚くならねばならないが、計算機工学の教育現場では、いまだに数学や電子工学からの借り物の学問体系が使われている。そうした依存型の学問形式ではない独自の理論体系確立は急務である。
そのひとつの提案として書かれた本書は、将来プロの技術者になろうとする人びとの格好の入門書・教科書である