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『スッキリわかる数理・データサイエンス・AI』
著者 皆本 晃弥 スペシャルインタビュー

 



Interviewee

皆本 晃弥
1997年 九州大学大学院数理学研究科数理学専攻単位取得退学。
1997年 九州大学大学院システム情報科学研究科情報理学専攻助手。
2000年 博士(数理学)。
2000年 佐賀大学理工学部知能情報システム学科 講師、同 准教授などを歴任。
現在、佐賀大学教育研究院自然科学域理工学系 教授。
2020年から佐賀大学全学教育機構数理・データサイエンス教育推進室長。


著者の皆本 晃弥 先生に著書の特徴や教科書の使い方のポイントなどをお伺いしました。

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Q.  どのようなことを意識して『スッキリわかる数理・データサイエンス・AI』(以下:本書)をご執筆されましたか。
皆本ーこの本を書こうと思ったきっかけは、最近のデータサイエンス教育に感じるある種の「危うさ」です。データサイエンスは、数学、統計学、機械学習などが融合した非常に魅力的な分野です。AI技術の発展により、多くの人が関心を持っていますが、ツールやライブラリを使うことだけに偏ってしまうケースが増えているように感じています。
 もちろん、ツールを使うことは重要ですが、それだけでは応用力が身につかず、真の理解にはつながりません。そこで本書では、数学的な背景や原理を丁寧に解説することに重点を置きました。技術は日々進化しますが、基礎がしっかりしていれば、その変化にも対応できます。この本を通して、読者の皆さんが「知識としての理解」だけでなく「実際に考える力」を身につけてくれることを願っています。

Q. 教科書として使いやすいように工夫した点を教えてください。
皆本ー数学の教科書でなじみのある構成を採用しました。具体的には、定義や定理による概念の説明、例、問という流れで、無理なく理解を深められるようになっています。また、授業で使いやすいように、各章は約15ページで、15回の授業に収まるように作成しています。問題も段階的に用意しており、基本的な「問」から章全体の理解を確認する「確認問題」まで学べる構成です。
 本書は、コンピュータを使わずに、紙と鉛筆だけで学習を進められるように設計されています。例を解くだけでも全体の内容が把握できると思います。データサイエンス検定やG検定を意識した4択問題も用意しているので、試験対策にも役立ちます。

Q. 教える立場での本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
皆本ーデータサイエンス関連の科目は、数学系や情報系の教員が担当するケースも多いかと思います。本書は、数学的な基礎から丁寧に解説しているため、データサイエンスを専門としない教員の方でも安心して授業を進められます。また、各章の「問」や「確認問題」を活用することで、学生の理解度を確認しながら進めることができます。
 例や問の数値を少し変えたり、選択問題を穴埋め問題に改変することで、授業の効果を高めることができるでしょう。また、Pythonによる演習をしたい場合は、姉妹書「Pythonによる数理・データサイエンス・AI」(サイエンス社刊)を合わせて活用することで、より実践的な授業ができます。姉妹書では、本書で解説した手法をPythonで実装する方法を、具体的に解説しています。

Q. 自習など自学で使うときの本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
皆本ー自学で取り組む方には、章ごとの例を解きながら読み進めることをお勧めします。最初は定理の証明が理解できなくても構いません。手計算の問題も多く含まれているので、数理やAIの根本的な原理をしっかりと身につけていくことができるはずです。また、Pythonで実装したい場合は、姉妹書「Pythonによる数理・データサイエンス・AI」(サイエンス社刊)と併せて学ぶことで、より実践的な学習が可能になります。

Q. インタビューをお読みいただいた皆様へメッセージをお願いします。
皆本ーデータサイエンスは、これからの社会でますます重要になる分野です。AI技術の発展は目覚ましく、私たちの生活に、データやAIがますます深く関わるようになるでしょう。そのような時代において、データサイエンスを理解することは、社会で活躍するための必須の教養と言えるでしょう。 近年、話題になっている「デジタル小作人」という言葉をご存知でしょうか。これは、日本がクラウドベンダーを含む米IT企業に依存し、重要な価値を搾取されている状況を指しています。DXを進める中で、技術の表面的な利用にとどまってしまうと、日本の国富が海外に流出し続けるという懸念があるのです。 本書では、AI技術を「使う」だけでなく「理解する」力を養うことを目指しています。ツールやライブラリに頼るだけでは真の理解は得られません。それでは、サービスに依存してしまう「デジタル小作人」に留まってしまいます。
 本書を通して、多くの方がデータサイエンスの面白さや奥深さを知り、プラットフォーマー支配からの脱却を目指してほしいと願っています。 データサイエンスは一見難しそうに思えるかもしれませんが、基礎となる数学をしっかりと理解すれば、誰でもその世界を楽しむことができます。そしてその理解こそが、真に自立したデジタル社会の担い手となるための第一歩です。本書が、皆様の将来の技術変化にも対応できる応用力と柔軟性を養い、新たな価値を生み出す人材育成の一助となれば幸いです。
皆本先生お忙しい中、誠にありがとうございました。
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インタビューの中で出てきた書籍情報はこちら!

スッキリわかる数理・データサイエンス・AI

【数理・データサイエンス・AI認定制度における応用基礎レベルをフォローした教科書!】

 データサイエンス・AIの数学的な内容について詳細に説明し、紙と鉛筆だけで取り組める問題を数多く配置した教科書。各手法のアルゴリズムを学習と予測に分けて明示し、一般的な数学の教科書と同じように、概念の説明、例、問という構成で、章末には確認問題を掲載しています。
[問] 例の類題や概念の説明を補うための問題。
[確認問題] 章の内容を確認するための問題。データサイエンス検定やG検定などの検定を意識した4択問題もあり。
数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度における「応用基礎レベル」から「エキスパートレベル」にステップアップするための必読書籍!


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【株式会社 近代科学社】

株式会社近代科学社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚浩昭)は、1959年創立。
数学・数理科学・情報科学・情報工学を基軸とする学術専門書や、理工学系の大学向け教科書等、理工学専門分野を広くカバーする出版事業を展開しています。自然科学の基礎的な知識に留まらず、その高度な活用が要求される現代のニーズに応えるべく、古典から最新の学際分野まで幅広く扱っています。また、主要学会・協会や著名研究機関と連携し、世界標準となる学問レベルを追求しています。