近代科学社

書籍検索
ジャンル選択

『TEXTBOOK 情報セキュリティ』
著者 スペシャルインタビュー

 



Interviewee

林 隆史
1989 年 東京大学大学院博士後期課程単位取得退学/1992年9月 博士(工学)取得
1989 年 東京大学工学部助手
1992 年 福島県立会津大学設立準備室
1993 年 会津大学コンピュータ理工学部助教授
2004 年 会津大学コンピュータ理工学部教授
2016 年 新潟大学工学部教授
2020 年 日本大学工学部教授
情報基礎論・情報セキュリティ講座
研究・業績等
https://researchmap.jp/read0192593

林 智子
1986 年 新潟大学卒業
1986 年 (株)SRA入社
     先端技術開発部にて、ソフトウェア開発に従事。
1992 年 通商産業省(現経済産業省)所管の新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)に出向。
1993 年 会津大学に出向。情報センター技官業務に従事。
2008 年 会津大学に転職。情報センター職員として、システム管理、ソフトウェア開発、教育研究環境の整備、システム更新、利用者向けwebpage作成業務、セキュリティ関連業務等に従事。
2022 年 独立


著者の林 隆史 先生、林 智子 先生に著書の特徴や教科書の使い方のポイントなどをお伺いしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Q.  どのようなことを意識して『TEXTBOOK 情報セキュリティ』(以下:本書)をご執筆されましたか。
 本書は新潟大学工学部および大学院の情報セキュリティの講義用テキストとして執筆しました。大学に入学し、はじめて情報工学を学ぶ学生から、情報工学についてより深く研究しようとする大学院生までを対象とし、情報セキュリティの基本的な考え方から、利用者の立場での情報セキュリティ、また、実際の情報システムにおける情報セキュリティの管理について主に解説しています。

 情報システムを利用する上で、利用者にとって何が大事かを無視して、管理者の立場だけで情報システムを構築し、情報セキュリティを管理するのでは、そのシステムは使いにくく、その組織のパフォーマンスを上げることはできません。

 そのため本書は、大学生のみならず、仕事、学習、趣味などでコンピュータを利用する人、情報システムの設計、構築、管理をする人、コンピュータやネットワークの研究・開発をする人など幅広い読者の役に立つことを考え、執筆しました。
本書は、まず情報セキュリティを学ぶ上で基本となる知識、技術を解説した上で、情報セキュリティ、リスクに対処するための視点や考え方を学んでもらうことを目的としています。

Q. 教科書として使いやすいように工夫した点を教えてください。
 各章のはじめに、ナビゲータ(インコ)がその章で学ぶことを説明しています。これにより読者は、この章で何を学ぶかを明確にすることができると考えます。
 
 初めて情報セキュリティを学ぶ人が簡単に読み進めることができるように、全体として、平易な言葉を使い、未定義の用語や略語を載せないようにしました。また、初めて情報セキュリティを学ぶことを考え、重要で基礎的な範囲を逸脱しないよう努めました。

 情報セキュリティの確保に必要な物の見方や考え方を理解してもらうことを重視し、必要以上に細かい知識等については触れていないものもあります。しかし、情報セキュリティに関わる国際的な標準や国内限定の標準など、多くの情報セキュリティ関連の教科書であまり触れられていないことでも、必要と考えた内容については取り入れるようにしました。

 これらの物の見方、考え方は、情報セキュリティに関わる対象に 広く、長く役に立つと考えています。

Q. 教える立場での本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
 本書は、情報セキュリティの歴史、情報セキュリティの基本となる知識、技術について学んだ後、実際に情報セキュリティの確保をどうするか、情報セキュリティの管理方法、インシデントが発生した場合の対応、SDGSを意識して変化にどう対応するか、社会活動や利用者に関わる情報セキュリティ、今後必要となる情報セキュリティの順で話を進めています。

 この順で講義を進めていただくのが理想ですが、必要に応じて、必要な章を適切な順序で教えていただければよいと思います。

 また、各章ごとに用意した演習問題は、最小内容にしてありますので、学生や受講者の興味、それまでに習得しているもの、今後必要とされるものなど、必要に応じて、適宜追加してもらえればと思います。

Q. 自習など自学で使うときの本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
 「はじめに」の章と、各章ごとの最初の「この章でまなぶこと」のナビゲータの説明をまず読んでください。情報セキュリティは、技術の名前や内容、特定の対策を覚えるのではなく、情報セキュリティに対して必要な考え方を理解し、その考え方を各自のケースにあてはめて実践することが大事です。

 本書で紹介している技術についても、細かな内容よりも、それぞれがベースとしている考え方などを理解して、自分ならどう利用し、応用するかを考えて、まとめておくとよいと思います。

 本書は情報セキュリティの入門書ですので、関心を持った内容や疑問があることは、ネットや書籍などで調べ、考察を深めるとよいと考えています。

Q. インタビューをお読みいただいた皆様へメッセージをお願いします。
 情報セキュリティは、情報システムに直接携わる人だけではなく、学校、企業、公共機関、医療機関、家庭など、コンピュータやネットワークを利用するすべての人や物に関わるものとなっています。

 本書が情報セキュリティに対する意識の向上および安心・安全な情報システムの利用に繋がることを願っています。
林先生、林先生、お忙しい中、誠にありがとうございました。
『TEXTBOOK 情報セキュリティ』の献本のお申込みはこちらから。

インタビューの中で出てきた書籍情報はこちら!

TEXTBOOK 情報セキュリティ

【リスクに対処するための視点と考え方、インシデントへの備えと対応について学べる教科書!】

 本書では、どこにどのようなリスクが存在するかを把握するだけでなく、リスクに対処するための視点と考え方、また、インシデントへの備えと対応について学習することを目的としています。「持続可能な情報セキュリティ」を実現する方法を提示した、初学者向けの教科書。

著者スペシャルインタビューはこちら

【株式会社 近代科学社】

株式会社近代科学社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚浩昭)は、1959年創立。
数学・数理科学・情報科学・情報工学を基軸とする学術専門書や、理工学系の大学向け教科書等、理工学専門分野を広くカバーする出版事業を展開しています。自然科学の基礎的な知識に留まらず、その高度な活用が要求される現代のニーズに応えるべく、古典から最新の学際分野まで幅広く扱っています。また、主要学会・協会や著名研究機関と連携し、世界標準となる学問レベルを追求しています。