本書は、コンピュータアーキテクチャコースを受講している大学の学部学生、大学院生、さらには高専生や一般社会人も対象読者とし基本的には、コンピュータアーキテクチャの教科書あるいは、他の講座(OSやコンピュータネットワークなど)におけるコンピュータアーキテクチャを理解するためのサブテキストとして使用されることを想定した内容になっている。
この本では、本質的なことがらをまず取り上げ、その考え方について理解し現状の問題点と課題をできる限り定量的に考えるというアプローチをとった。内容は(株)日立製作所に所属していた時から兼任講師として続けている中央大学理工学部情報工学科の学生に講義した「コンピュータアーキテクチャの基礎」(90分を13回分)の講義録をベースに加筆したものである。記述の全内容に関しては、もちろん筆者の個人としての考え方であることをお断りしておく。
本書は第1章において、コンピュータが人間社会において、なぜ必要でかつ重要な道具なのかを説明する。そしてコンピュータを構成するいくつかの要素技術は、ここ数十年間急速な勢いで進化し続けており、その課題について述べる。第2草から第4章では、コンピュータの基本的な動作原理である、情報の表現、コンピュータが理解する言葉の仕様である命令の仕様、ディスクやインターネットなどに接続する入出力の制御方式について述べる。第5章では、インターネットとコンピュータとの関わりについて述べる。最後に第6章では、今後のコンピュータシステムの方向について考察し、創造力を高める最近の手法について述べる。