本書は、工学部電気・電子・情報系大学生や高専の学生向けの電磁気学の教科書である。
電磁気学は回路系科目と並んで避けては通れない基礎科目であるにもかかわらず、必ずしも学習の容易な科目ではない。これを、長年教えている教師の経験に基づいて、簡潔な記述と図版の多用を心がけて説明する。
この本では、クーロンの法則などのような実験則から始めて、最後にマクスウェルの方程式に達する形をとっている。これは、その逆の場合よりもわかりやすいからである。また、E-H対応とE-B対応の相違にも一応意を用いている。
工学系の学生にとっては電磁気学の体系の美しさに感心するよりはむしろ、実用面にうまく応用できるか否かが大事であろうから、本書においても論理の厳密さを追う代わりに、具体的に問題が解ければよいという立場をとっている。